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高さ制限適合建築物の天空率に関する考察

天空率による各種高さ制限の緩和が施行され丸数年が経過しました。
天空率関連の法文解説や、審査方法に関する解説など、WEB上にも散在するようになってきました。
しかし、運用については未だ充分に検討されていないのが現状のようで、毎日のようにユーザー様からの物件固有の問合せが絶えません。
検討されない原因の一つには、見慣れた平・立・断面図などから天空図への脳内変換が困難なことに起因すると思われます。
このページなどを参考にしつつ、天空図を創造できる力をつけていただければ、と思います。
しかし、天空図が描けたからといっても、最有効天空率の高さ制限適合建築物(以下、適合建物)を検出するには途方もない時間と労力を必要とします。
<今回リリースした「TP-PLANNER 7」では、最適外壁後退距離計算の機能が追加されていますが、万能というわけではありません。
敷地の形状によっては最適化計算を失敗する場合もあります。


天空率が「見たままの空間」を表すことに注意すれば、おのずと考えが及ぶと思いますが、適合建物の高さ、間口、外壁後退距離が一定であれば、適合建物の「見た目のその大きさ」は、それを見る位置によってのみ大小が決定します。
これが意味することは、『天空率は「視点から建物までの距離と建物形状との関数」である。』、ということです。
※ここで言う、
「建物形状」とは、区分区域(算定領域)内での天空図に描かれる建物の部分を示します。
「建物」とは、適合建物と計画建物のそれぞれであることは言うまでもありません。

このことを実証するために、高さ一定で間口の異なる適合建物での、同一条件の視点からの天空率を比較したいと思います。
説明と、理解の簡便のために道路高さ制限適合建築物のみを例に採ることとします。
何を言っているのか唐突すぎて少し判りにくいかもしれませんが、読み進めていくうちに理解できると思います。
イメージ図を作ってみました。(下図)
道路幅員が変えず適合建物の間口(敷地の間口?)を広げていくようなイメージです。
実作業の中では、適合建物を広げていくことは不可能に近いので、道路幅員に外壁後退距離を含めた距離で調整することになります。
(左図、道路幅員4m:敷地間口4m) ⇒ 4m刻みで敷地を広げていきます ⇒ (右図 道路幅員4m:敷地間口28m)
(図をクリックすると拡大されます)

ともあれ、以下の表をご欄ください。
(天空率計算時の条件は、用途地域:住居系 容積率:200% ⇒ 道路高さ制限勾配:1.25/1(法56) 道路高さ制限を適用する距離:20m(法別表3))
      道路幅員 4m            
      適合建物の間口 4m 8m 12m 16m 20m 24m 28m
      端部 93.03% 91.28% 90.88% 90.75% 90.70% 90.68% 90.67%
      中央 91.24% 86.12% 83.72% 82.62% 82.09% 81.81% 81.66%
                     
    道路幅員 8m              
    適合建物の間口 4m 8m 16m 24m 32m 40m 48m 56m
    端部 95.59% 93.03% 91.28% 90.88% 90.75% 90.70% 90.68% 90.67%
    中央 95.20% 91.24% 86.12% 83.72% 82.62% 82.09% 81.81% 81.66%
                     
  道路幅員 12m                
  適合建物の間口 4m 8m 12m 24m 36m 48m 60m 72m 84m
W/4以内 端部 96.88% 94.52% 93.03% 91.28% 90.88% 90.75% 90.71% 90.68% 90.67%
  中央 96.74% 93.81% 91.24% 86.12% 83.72% 82.62% 82.09% 81.81% 81.66%
W/4以降 端部 97.08% 94.67% 92.90% 90.26% 89.45% 89.15% 89.03% 88.97% 88.96%
  中央 97.04% 94.23% 91.74% 85.86% 82.45% 80.59% 79.55% 78.96% 78.90%
                     
道路幅員 16m                  
適合建物の間口 4m 8m 12m 16m 32m 48m 64m 80m 96m 112m
端部 97.57% 95.59% 94.08% 93.03% 91.28% 90.88% 90.75% 90.71% 90.68% 90.67%
中央 97.52% 95.20% 93.12% 91.24% 86.12% 83.72% 82.62% 82.09% 81.81% 81.66%
この表は、同じ幅員の道路に4m、8m、12m・・・の間口の敷地が接道した場合を想定して算出した、適合建物の道路の反対側での間口中央部と端部の天空率です。
適合建物の間口は道路幅員の1/4倍から7倍までとしました。(特に意味はありません)
この表から何が読み取れるのでしょうか?
間口が広がって適合建物が大きくなれば天空率は低くなっていきます。当たり前のことです。
ですが、縦列にご注目ください。(判りやすいように強調文字に色を着けてあります。)
適合建物の間口を2倍、3倍、4倍・・・にしても倍率ごとの(縦の)天空率は等しいのがお判りいただけるとおもいます。(1/2、1/3、1/4も同様です。)
つまり、天空率は敷地規模の大小にかかわらず、道路幅員と適合建物の間口との割合において、一定になるのです。

この表をグラフにしてみると以下のようになる。
●道路幅員4m(図をクリックすると拡大されます)
ChartObject Chart 1
●道路幅員8m(図をクリックすると拡大されます
ChartObject Chart 2
●道路幅員12m(図をクリックすると拡大されます
ChartObject Chart 3
●道路幅員16m(図をクリックすると拡大されます
ChartObject Chart 4
これらのグラフから、敷地の間口が道路幅員の等倍から2倍までの間の変位は間口中央でΔ5.12%、端部でもΔ1.75%ともっとも大きくなります。
また、道路幅員に対して敷地の間口が3倍を超えると、端部での天空率が横這いに、4倍を超えると間口中央の天空率もほぼ横這いとなります。
 

効率よく天空率を稼ぐ(天空率の低い)適合建物を作りたければ、道路幅員の2倍くらいの間口をもった適合建物にすると良いことが判ります。
実作業では、適合建物の間口の1/2程度になるように道路幅員+外壁後退距離を調整すれば良いことが判ります。

あくまで整形な敷地でのシミュレーションですが、天空率緩和処理の参考になれば幸いです。

 
 
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